アメリカ人とお遍路さんの話題

その283


道後温泉近くの道後公園で、ベンチに座っていた白人の男性がいたので、声をかけて話をしました。

最近、景気回復のためにも、お金を消費してくれる外国人には特に親切にしよう と心がけているのです。

大阪で働いているアメリカ人で、旅行で数日間、四国の寺や観光地を回っているとのことです。

日本語はほぼ完璧かつ日本の事情にも通じていて、質問がお遍路さんのことになりました。

仏教の巡礼と言えばチベット五体投地を思い出すが、お遍路さんも同じようなものかと聞くのです。



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      道後公園湯築城跡。発掘した展示品なども見学できます。多くの人がくつろいでいました。



今回、あまりお遍路さんを見ませんでしたので、インターネットで調べてみれば、年間に10~30万人くらい、

四国八十八箇所のお寺をお遍路さんがお参りするそうですが、歩いてまわる人は5000人もいないようです。

バイク、自転車、車の人が多いようですが、数の上では何といっても観光バスの団体ではないでしょうか?

しかし、一箇所や数箇所のお参りで、これもお遍路さんとして数えているのかなどは知りません。



道の駅で会った車でのお遍路さん夫婦は、今回般若心経を丸暗記したと嬉しそうに言うので、聞くと、なんと

浄土真宗なのです。 宗教的な目的は希薄で、百名山を登る様にお寺をまわる人も多いような気がします。

それはそれで結構な話ですが、実に日本人的な行動だと思います。 これを宗教の戒律にきびしい外国人に

理解させることは経験上困難です。 チベットでの五体投地ガンジス川を目指すヒンズー教徒、イスラム教徒の

メッカへの巡礼との比較を質問されれば、明確かつ論理的に説明できるお坊さんも少ないかもしれません。




この賢明なアメリカ人(プロテスタント)は、宗教に関して質問すれば面倒になると察し、日本人には聞かない

ようにしていたそうです。 そこで利害関係のまったくない私が答えました。お遍路さんよりも仏教の話です。

戒律がないに等しい日本仏教は、チベットやタイなどの仏教とは大きく違う。 クリスマスも初詣も行事として

楽しんでいてこだわりはない。 新興宗教は別として、日常的に信仰心を持って寺に行く人は少ない。

宗教の教育がなく、人生や日常的な宗教の重要性が薄く疑問にも思わない などを1時間くらい話しました。



お遍路さんに関しては知識も経験もないのですが、日本人と日本の仏教の印象も悪くしたくないので、

「お遍路さんも五体投地のような覚悟を持ってまわる人も少なからずいる。 しかし奥ゆかしい日本人として、

それを表現することは日本人の美徳ではない。マタイ伝の6章の最初に書いてあることと精神は同じだ。」 と、

大見得を切るように言えば納得した様子でした。開放されたくて(笑)、納得したふりをしたのかもしれません。

宗教と政治の話は、特に外国人には避けるべきですが、今回は日本の国益を損なうことはなかったでしょう。