カラヴァッジオ 衝撃作 聖母の死

その388


ルーブル美術館などを楽しむためには、キリスト教などの知識があるかどうかで、全く違うことはいうまでも

ありません。 どの絵を見るかを事前に調べたり、是非、音声ガイドを借りて見ることも知人にも勧めます。

膨大な作品数なので、じっくり見られませんが、予備知識なく見た絵で感動、忘れられないこともあります。

そのうちの一枚が、カラヴァッジオ(購入した本では 1570・71年 ~1610年) の 聖母の死 なのです。



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      91年にルーブル美術館で購入した本の一部。 1605、06年作 となっています


なぜこの絵に衝撃を受けたかと言えば、聖母を普通のおばさんの死のように描いているからです。

プロテスタントと異なり、カトリックなどでは聖母をイエスと同等、あるいはそれ以上に清らかに描く、

描かせるように感じます。 仏教徒ながらイエスを尊敬する私の誠に勝手な思い、印象なのですが。

ですから、ルーブルプラド美術館などで、聖母をあまりに美化した数々の作品には食傷気味に感じます。 

それで、ルーブルでこの絵を見たときは驚き、同時に 「やったー」 と思いました。

カラヴァッジオが、イタリアの画家であることは知っていましたが、カトリックでは、このような作品は異端で、

描いた本人だけでなく、所有しているだけでも厳罰に処せなれなかったのか? とも思います。


4月8日にNHKで、カラヴァッジオの特集番組を放送していましたが、もし、番組製作者がこの絵の存在を

知っていたら、違った番組の結論になっていたのでは?あるいはそれを承知の上で構成、結論でしょうか?

これは死の4年くらい前の作品なのですから、カラヴァッジオが、殊勝な気持ちでカトリックの教義に従って

いたとは思えません。知っていたら、教会や法皇も許さないと推測されます。

この作品が世間には知られずに、隠されていたかもしれませんが、描いたことは事実でしょう。


テレビ番組は、先日の石坂浩二の騒動もそうでしたが、製作者の意向に沿って編集されて放送されます。

専門家の発言も都合の良い部分だけ使われ、本人の意思とは反対の意見に編集されることも多いようです。

ですから、どのような番組(マスコミ報道も含めて)を見ても、自分の頭で必ず考えたいと思います。


カラヴァッジオは、私が大好きなレンブラントに先駆けて、光と影を見事に活かした(聖母の死 も同様です)

素晴らしい画家であることは疑いもなく、その名作を現在、国立西洋美術館で見られることは結構なことです。

NHKの番組に疑問を感じ、ルーブルでの衝撃を思い出しました。 素人の浅学な勝手な意見です。ご容赦を。