スペインの夏は暑い

その170
 
 
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マドリッドから日帰りで行ったカンポ・デ・クリプターナの風車。列車が少なく、炎天下片道2時間歩きました。

 
ピレネー山脈を超えると、そこはアフリカだった」 ということをスペインの紹介で、時々、聞きます。
 
出典は知りませんが、確かにフランスから、スペインに入ると、ヨーロッパと違った気候、風景や、イスラム
 
雰囲気も感じます。何よりも夏は、大変に暑く、マドリッドなどでも40度近くなります。


そのマドリッドの町の路地をあてもなく真夏の昼間、歩いていました。シエスタ・タイム(昼寝時間)で、路地
 
には誰もいません。 この時、男性トイレを探していましたが、ヨーロッパは、おそらく日本の10分の1くらい
 
しか公衆トイレがない印象です。段々、事態は深刻なものになっていきました。大変な暑さに目まいもしそう
 
です。 ちょうど、その時、運よく、路地から黒い服を着た小柄なおばあさんが出てきました。



「助かった」 と思い、トイレの場所を尋ねようと、数少ないスペイン語の知識を頭の中で整理しました。
 
「オラ!」(やぁ)は少し失礼だな・・「オイガ!」か、「ペルドン!」(ちょっと、スイマセン)がいいな。そして笑顔で
 
穏やかに、「ヨ ソイ ハポネス。 ドンデ エスタル セルビシオ?」(日本人ですがトイレはどこですか?)で、
 
通じるだろう・・。 このように考えていると、不審げにチラチラこちらを見ながら、うつむき加減で、歩いてくる
 
老女との距離が近づいていきます。



私も、警戒感を与えないために、サングラスをはずし、飛び切りの笑顔をうかべようとしましたが、おそらく、
 
顔がこわばっていたと思います。5メートルくらいの近さで、声を出そうとしましたが、ノドの渇きで、まったく
 
声になりません。焦って、目の前の距離になったとき、右手を上げて、つい予想外の大声で、「オイガ!」と
 
叫ぶと、そのおばあさんは、とんでもなく驚いて、「ヒィー」とのかすれ声とともに、路地の壁に両手を広げ張り
 
付き、おびえていました。私も突然の出来事に、何をすればいいのか、何語をしゃべればいいのか、近づく
 
べきか、頭が全く働かず・・、2,3秒後に出結論は、「逃げるしかない!」 です。
 
「ペルドン」 と言って小走りの背中に、かすかなうめき声が聞こえました・・。
 
 
 
悪いことをしたような後味の悪さですが、ずっと続きました。