挨拶が 「ご飯食べた?」の不思議

その597


親しい中国人の間では、ニーハオ と言わず、「ご飯を食べたか?」 と言うことは、学生時代(相当昔)に

中国語の先生から聞いていました。 若者は別にして、今でも普通に使われるそうです。 極端に言えば、

ニーハオは、知らない人、よそよそしい人、ビジネスで使うのでしょう。 親しい人の挨拶が、ニーハオに

変わったら、「今までのような親しい関係ではないよ」 というサインだと、中国人から聞いたこともあります。

中国のドラマを見れば、「ご飯を食べたか?」 と言っている場面の字幕が、「元気?」、「おはよう」 などに

なっているのも当然でしょう。 若い女性が、知人が連れている犬に向かって、「ご飯を食べたか?」 と、

顔を近づけて声をかけるシーンは、20年くらい前ですが頭に残っています。 


日本でも昔は、「ご飯食べた?」 という挨拶があったかは不明ですが、現在では聞いたことがありません。

しかし、アジアの国々では、現在でもめずらしくないようです。 

先日も日本語が上手なミャンマーの人と話をしていたら、「こんにちは」 は、「ミンガラーバー」 ですが、

外国人からそう言われたら、同じように返すが、普通は、「ご飯を食べたか?」 を挨拶で使うとのこと。

タイやラオス(隣国で言葉が似ている)でも同じことは知っていましたが、日本語が話せるタイやラオスの人に、

会う機会があれば、「こんにちは。ご飯を食べましたか?」 と笑顔で聞いて反応を確認してみます。


インターネットで調べたことなので、不確かなのですが、味の素の広告では、タイ、ベトナム、マレーシア、

ミャンマー、フィリピン、カンボジア で、「ご飯を食べたか?」 が、日常の挨拶だと出ています。 

韓国の人が、挨拶代わりにいつも聞くので、困惑したという話も、ネットではいくつも出ています。

アジア各国に定着している習慣に何だか不思議な感じがします。 欧米ではないことでしょう。

「中国人は常に食の確保が最優先で、統治者の最大の責務は人民を飢えさせないこと」 というような解説は

多くの本に書かれて、だから、「ご飯を食べたか?」 が挨拶になった という説明が定着しているようです。

で、あれば、アジア各国でも常に飢えと戦っていた、あるいは中国文化の影響を受けた・・と推測されますが、

私にはすっきりしません。 私は、「相手を気遣うアジア人のやさしい習慣」 と解釈したいのですが。