その550
陶板での複製ですが、世界中の名画を鑑賞できるので、ここで勉強して原画を見ることも一案でしょう。
特にキリスト教に関する知識の有無、程度によって、楽しみが何倍増にもなることは当然ですが、
大半の見学者はどうでしょうか? これは国内外の美術館も同様ですが、この大塚国際美術館も、
一通り鑑賞すれば、4キロくらい歩くそうですから、興味のない人にとっては、一種の拷問かもしれません。
少し前に、奥さんについて行った(連行された)知人が、酒席で愚痴を言っていました。
大塚国際美術館に復元されたスクロヴェーニ礼拝堂の話です。
キリスト降誕というのに、何だか浮かない顔の父ヨゼフ
スクロヴェーニ礼拝堂は、イタリアのベニスから40キロ離れたパドワにあって、ここは観光地ではないので
敬虔なキリスト教徒か、マニアックな?人でなければ訪れないと思います。 私も同様です。
ですから、大塚国際美術館で、ゆっくり鑑賞できることは誠にありがたく思いました。 ここを飾るのが
ジョット(1266~1337)の39枚の壁画です。 イエスの母 マリアの誕生にまつわるエピソード
から始まるのがめずらしく、19番のイエスの誕生までは、大半がマリア(及びその父母)なのです。
個人的に笑ってしまったのが、そのイエスの誕生(キリスト降誕)に関するある解説本なのですが、
さえない表情で描かれた父ヨゼフに対して、「身に覚えのない子どもが生まれたのだから・・」 と
ジョットが語ったと書かれていました。 間違いなく作り話だと思いますが、興味深いエピソードです。
絵画は鑑賞と同時に、エピソードも知っていれば、一層、楽しくなります。